チタンとは

金属として身近なものは「鉄」「銅」「アルミ」などが一般的で、銅は6000年前、鉄は4000年前から使われています。 「チタン」は1790年イギリスの海岸で新しい金属元素(チタンの始まり)が発見されてから、 5年後にドイツの化学者が鉱石中から「チタン」元素を見出し、1910年アメリカの化学者が純度99.9%のチタンを抽出することができ、これによって「金属チタン」が世の中に誕生しました。
チタンが工業/産業で幅広く取り入れられるようになったのは戦後(1946年)で金属材料としてはまだ新しく実用化されてから70年、未知の可能性に満ちた金属です。 元素記号 「Ti」で表される銀灰色の金属です。
他の金属に比べて軽量・高強度・耐食性に優れるなど、多くのメリットを持ち、先端技術に欠かせない実用金属です。宇宙・航空機用材料から各種プラント設備、建築材料、 身近な生活用品に至るまで、その用途・可能性・夢は、限りなく広がっています。

チタンのメリット

高比強度

重さあたりでは、アルミニウムの約3倍、鉄の約2倍の強度です。 ステンレスと比べても比重に対する強度ではチタンの方が勝っており、質量を軽くすることができます。 高強度を活かして、航空宇宙分野では機体構造材、エンジン部品、ロケット部品、燃料タンクなど使われています。 モータースポーツ分野ではエンジン部品(コンロッド、バルブ、リテーナー、ボディ、サスペンションなど)や二輪、四輪排気管などに使われています。 また、強い金属だけでなく、バネのようにもどる力(スプリングバック)も鉄の2倍近くあり、曲げても戻る性質のある金属です。 熱にも強く、溶解温度は、鉄が約1530度、銅が約1080度、アルミが約660度であるのに比べ、チタンは約1660度と鉄よりも強いのです。

高耐食性

海水に強く、海水耐食性は白金(プラチナ)に匹敵、他の主要金属より優れています。 電力・プラント関連では海水淡水化装置、復水器、苛性ソーダ電解槽、熱交換器などに使われ、海洋土木関連では深海艇、海低石油ライザーパイプ、生け簀用網などに使われています。

軽量

比重が4.51で鉄の約60%、銅の約1/2の軽さです。軽量化の特性を活かしてスポーツ用具(ゴルフ、自転車、登山用具など)や民生品(メガネフレーム、時計、カメラなど)など、さまざまな分野に使われています。

無害・生体適合性

金属アレルギーなど人体にやさしい安全な金属です。人口骨、インプラント部品、心臓ペースメーカー、補装具、マイクロサージなどに使われています。 金属アレルギーは、金属と汗などの水が触れることによって、 イオンが発生し、それが原因となって起こりますが チタンは他の金属に比べて有毒性が低く、金属アレルギーの原因となるイオンの発生が少ない為、アレルギーを引き起こしにくく生体適合性が良いとされています。 その他の特徴といたしまして、以下が挙げられる。

  • 形状記憶性
  • 非磁性である
  • 線膨張係数が小さい
  • 熱伝導率が小さい
  • 電気抵抗が大きい
  • 良加工性
  • 意匠性

チタンの種類

金属チタンには「純チタン」と「チタン合金」が有り、共通した性質と、異なる性質があります。一般的に純チタンは耐食材料として、 チタン合金は高強度材料として使用用途が分かれます。一部チタン合金でも高耐食チタン合金もあり、純チタンでは耐えられない環境などで使用されます。

純チタン

国内で最も一般的に用いられている種類の材料であり、一般的に「純チタン」と呼ばれています。 O,N,C,Fe,Hといった元素を含んではいますが、少量の為「純度の高いチタン」=純チタンという事です。純チタン1種は99.5%、2種は99.4%の純度となります。

チタン合金

チタンを用途や加性などに応じ機械的性質を向上させたものです。高強度、耐熱性、加工性、生体適合性、耐クリープ性、耐キズ付き性、溶接性、耐熱性などそれぞれに適した改良がされてきました。 海外では航空機分野で6Al-4V(AMS4911)がよく使用され近年日本でも需要が高まってきています。 各メーカーで独自のチタン合金を製造しています。